日曜日の歌


'81年 好学社 B5

 主人公の「ぼく」が、健次郎を殴り、となりのくんちゃんを泣かし、万引きをし、そのたびに両親が謝る。映画館では家族そろって号泣し、日曜日の草野球は、父ちゃんのエラーが原因で負ける。そんな、さえない日常をおくっている親子の姿を見ているうちに、いつしか自分とダブってしまい、おもわず「おい、頑張れ!」と言いたくなるのだ。土手の上で、大声出して、やけくそみたいに「みんなで歌をうたっているところ」がパンク。これぞ庶民の味方絵本。
同タイトルの曲が、シューヘーの4枚目のアルバム『ワカンナイド』に収められていて、そちらも必聴です。
 寒い冬にも元気100倍湧いてくる、「日曜日の歌」で、空っ風を吹き飛ばそう!



「状況と評論 絵本」 赤羽末吉 (季刊「飛ぶ教室」'81年12月号より抜粋)
「長谷川集平が又、ピリッとした絵本をだした。『日曜日の歌』(好学社)これは親と子の平凡な生活をたんたんと描いたものだが、小津安二郎の映画をみているようだ。ホロッとした、不思議な本だ」

オビから 灰谷健次郎
この絵本のなかに出てくる人間が、ぼくはものすごく好きだ。
ぼくがほんとうに会いたかった子どもとおやじとおふくろが、ここにいる。
人に疲れたとき、ぼくはこの絵本をとり出して、そっと見ている。




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