モーツァルトのレクイエム

「日毎の薬味」その33


 今年も原爆忌とともに終戦記念日がやってきました。東日本大震災のあった今年はことのほか亡くなった方々のことを思います。8月15日、終戦記念日がお盆、さらに聖母マリア被昇天の祝日(命日)というのも、何か運命的なものを感じます。
 長崎独特の世界一やかましくて寂しい伝統行事「精霊流し」は、残された者に終止符を打たせてくれるという点で大変優れた弔いだと思います。今年は「東北丸」という船も流されました。
 真に心と身体を癒してくれるのは芸術です。この時期にレクイエム(鎮魂歌)に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。ジャケットの絵は12世紀のイコン「天国への階梯」から。今もっとも定評のある演奏でぜひ。


●クルレンツィス指揮 アンサンブル・ムジカエテルナ 2010年録音



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