『料理歳時記』

「日毎の薬味」その31


 「この貴重な一冊は、私たちの日本が……その国土のなかに、どんな豊かな、幅広くそして深い『味の素材』を生かしたくわえていたか。そして、心と実力のある日本の母たちは、いかにその豊かな国土の素材を、丹誠込めて育み、手しおにかけて夫や子供たちに食べさせる独自の文化を所有できていたか。これはその証言なのである」
 「……日本の自然が土と水と大気のなかに生みだしてくれる純正の食材を、四季の季節感がうつりゆく動きの、その道しるべのようにとりだしてみせ、同時に、その素材が持つ真の美味を正しくひきだすには、どんな知恵と工夫と手間が必要か、を日常生活の息づかいと感覚の場で語った料理基本書である」──荻昌弘氏による解説から。

 読んでから、野原に出かけてみませんか。新しい食との出会いがきっとあるはずです。本質的な一冊、お奨めの名著です。


●辰巳浜子著(中公文庫)



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