春しゃぶ

「日毎の薬味」その15


 春節です。長崎の市場では八百屋の店先に生わかめが出回っています。採りたてのまだ赤褐色の、あのわかめでしゃぶしゃぶはいかがですか。すり身または豚の薄切り肉、白菜、ねぎ、きのこなどのお好みの野菜、豆腐、しらたきなどを準備します。昆布とかつおの出し汁の入った鍋に材料を入れ、ぐつぐつしてきたら、わかめをしゃぶしゃぶと湯通しします。瞬く間にぱあーっと潮の香りを漂わせながら鮮やかな緑色に変わります。口に運ぶ、まさしく春のかおり。名付けて「春しゃぶ」。わかめの気が強いので魚との取り合わせはあまりお奨めできません。わかめの緑色を引き立たせたければ春菊、みつばなど緑の野菜は控えた方がいいでしょう。レモン汁と醤油と柚ごしょうなどの薬味でいただく「ポン酢」味もいけますが、練りごまにポン酢と出し汁と蜂蜜などの甘みを加えた「ごまだれ」が、我が家の定番。わかめと絶妙のハーモニーで幸せな気分にしてくれます。
 旬は、上旬・中旬・下旬と10日間ずつ。旬の味で春の訪れを味わってください。




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