『風邪の効用』

「日毎の薬味」その6


 風邪の季節です。半身浴をする。首、背骨を暖める。体を弛める……寝っ転がってゆったりと腹式呼吸をする。肩や首筋、腿の内側をもみほぐす。水をたくさん飲む。と、薬に頼らないいろんな療法があります。そんな極めつけの本がこれです。
 「風邪は病気というよりも、風邪自体が治療行為ではなかろうかと考えている」
 「元来、風邪は身体の洗濯のようなものであって、体の偏り疲労を除去する自然の方法です」
 40年以上前に書かれたのになお新しい、風邪や病気について既成概念を打ち砕く、目からウロコの一冊です。療法も具体的に書かれています。著者は野口整体の創始者で、1976年に亡くなるまで体育的教育活動に専念されました。
 そういえば吉祥寺時代の太極拳仲間が、芸大の音楽学部では野口整体をやっていると言ってたのを思い出します。この冬は風邪とうまくつきあえますように。


●野口晴哉著(ちくま文庫)



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