『太極拳のゆとり』

「日毎の薬味」その27


──身体はつねに「自由」でなければならないが、「怠惰」に流れてはならない。意識と動きの統一により肉体の「教養」を高めること、肉体が「輝き」を得てその「教養」を深め、心と体のバランスのとれた人間をつくること──これは、学校教育のみならず、生涯教育の場でも為政者がつねに目ざさねばならぬいちばんたいせつなことではなかろうか。

 この日本の教育の欠陥を憂慮された楊先生が(中略)指導者向けにそういった心の問題を強調された本書を刊行されたことは時宣を得たものである
  ──渡辺礼輔氏の序文から

 1980年に出版された心についての楊名時先生初めての著作です。

 鑑真和上についての随筆、稽古要諦の解説、太極拳経の原文・読下し・語釈・通釈・大意、人生哲学など、楊名時太極拳愛好者にとって必読の書と言えます。この本のために彫り下ろされた帥立志先生の篆刻も素晴らしい。カバー写真を先生がとても気に入ってらっしゃったことを思い出します。あいにく絶版です。再版を待ち望みます。古本はインターネットでも入手できます。


『太極拳のゆとり 柔らかく静かに』楊名時著・文化出版局



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