新鮮な文化の雰囲気を


 私は1981年1月に吉祥寺コミュニティカレッジで太極拳を始め、楊名時先生をはじめ本部設立期の先生方に指導を受けました。治らないと医者に言われていた膝が次第に良くなりました。いわゆるサブカルチャーとして太極拳が若者を惹きつけた時代でした。東洋哲学、精神分析などに目を開かれ、新しい価値観を模索する中で太極拳とのおつき合いが始まりました。

 中央線で陽気な楊先生とばったりお会いすることもありました。本部はチェルノブイリの映画で知られる写真家・本橋成一さんのお宅のビルにあり、ひと癖もふた癖もある人が集まる場所でした。

 引越してきた'91年の長崎にはまったく楊名時太極拳がありませんでした。人に乞われ細々と教室を続け、昨年ようやく長崎県支部を立ち上げることができました。太極拳という武道の型と心を伝えるだけではなく、私が感化を受けた今も新鮮な文化の雰囲気をも伝えていきたいと思っています。

●2004年12月12日 鹿児島支部イベント・九州25周年大会「記念誌」に寄せた文章より転載



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