集平リモート・セミナリヨ レポート


第2回
『あのやまこえてやってきた』を語る

2023年5月17日

1979年 すばる書房


リモート・セミナリヨ第2回「『あのやまこえてやってきた』を語る」無事終了しました。リアルタイム参加者のみなさん、ありがとうございました!

まずは、武蔵野美術大学在学中、民俗学者の宮本常一さんの授業を受けていた集平さんの民族学と民俗学についてのお話から始まりました。歴史に書かれなかった庶民生活を研究する、自分の足で歩き回って調べる、という民俗学の考え方に大きな影響を受けたそうです。

『あのやまこえてやってきた』は『はせがわくんきらいや』の約1ヶ月後に書かれた絵本ですが、まるで別人が書いたようにしたかったという集平さん。『はせがわくん…』は叙事的な物語絵本、『あのやま…』は叙情的な純絵本、と対照的であり、ベートーヴェンの作品番号のつけ方でいうと、1-1と1-2のように対になっている作品だということを細かく丁寧にお話されました。

文字のない『あのやま…』を無音スライドショーで流した後、集平さんのティンホイッスル1本のアルバム「My Generation」の音源を編集した音をつけたスライドショーをお披露目。音をつけると印象が全く変わって、まるで1本の映画を観ているようでした。

岩田健三郎さんから聞いた「追分節」の由来やさまざまな先人のお話も交えながら、この先に何があるかわからないけれど、先を目指す、前に向かって進む、自分が入っていく世界に向かってやっていこう、と『あのやま…』は集平さんがこれから表現をしていく覚悟を決めたきっかけになった絵本だというお話に展開していきました。

ひとつの絵本から、こんなにもたくさんの物事が混ざり合っているのだなと実感した今回も濃縮されたジュースのように、ぎゅぎゅっと詰まった濃厚な時間でした。

放課後タイムでは、参加者のみなさんとおしゃべりしながら、集平さんの絵本を描く上で大事にしてきたこと、絵本業界の今の現状について、絵本を大事にしてきた絵本作家の方たちから受け取ったバトンを、次の世代へ繋げる責任、みんなで絵本の苗床を育てていきましょう! というお話で盛り上がり、みなさんといろいろな考えを共有できること、本当に嬉しい時間でした。ありがとうございました。

(齋藤)




資料●『はせがわくんきらいや』と『あのやまこえてやってきた』の比較


上:映画館にフィルムを運ぶ夫婦(岩田健三郎・画)
下:『あのやま〜』の主人公はこの夫婦とすれ違う



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