『アロくんとキーヨちゃん』
1990年 ブックローン 20×20cm





カバー袖から
 この絵本の作者、長谷川集平は絵本作家という仕事の境界線を押し拡げる試みを続けています。この絵本はその最新の試みです。

 1955年姫路生まれ。1976年に出版された『はせがわくんきらいや』以降『とんぼとりの日々』『トリゴラス』『日曜日の歌』『土手の上で』に至る作品群は、これまでの絵本に対する考え方をくつがえすとともに、作家の思索の深まりを記録しています。村上康成との3部作『かいじゆうのうろこ』『おんぼろヨット』『プレゼント』では、絵本を映画モンタージュの視点からとらえ直そうとしてきた彼の方法論が発揮されました。小説、評論などでも独自の世界を展開しつつありますが、一方でライプハウスに出演、自作自演の歌のファンも増えています。




かきそえ●浦桐鱒三
 いうまでもなくこれは1959年に出版されたレオ・レオー二の絵本『あおくんときいろちやん』のパロディである。原作を引きずりおろすような類のパロディではなく、レオー二に対するオマージュ、変奏曲のようなものである。したがって原作をまずお読みになることを勧めたい。レオー二は青と黄が減法混色されると緑になるという色の特性を、愛の物語にまで高めている。そこで長谷川集平は考える。世界は青と黄だけでできてるわけじやない。もうひとつの原色、赤が加わってはじめて色づくのだ。さて、青と黄が交わって緑になったところに赤がやってくる。結果は……黒になるのである!

 60年代はじめのアメリカで『あおくんときいろちやん』は若者たちの心をとらえた。恋人に贈る時に「緑になろうよ」と書きそえるのが流行したという。ならば90年代の恋人たちは『アロくんとキーヨちやん』にこう書きそえて贈ればいい。

「黒になろうよ」

 子どもたちもきっと、いつかわかってくれるだろう、と私は思う。


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