中国太極拳友好旅行報告
2005年2月18日〜21日
'05年2月18日〜21日、初めての中国太極拳友好旅行を行い、上海市閘北(こうほく)区太極拳協会を訪問しました。
長崎市と上海市は姉妹都市。直通の国際線で結ばれています。今回はその飛行機を利用する3泊4日の観光付き団体ツアー(定員100名強)に、さらに小団体で申し込むという方法をとりました。参加者は太極拳を始めて数ヶ月の人から師範まで16名。実りの多いすばらしい旅となりました。
上海の方々との交流稽古が、中華人民共和国駐長崎総領事のご尽力で実現しました。出発前から心を砕き、何くれとなくお世話してくださった領事の胡人歴さん、事前のやりとりにも暖かく対処してくださった上海市人民対外友好協会日本処の郭盛麟さん、上海市閘北(こうほく)区太極拳協会のみなさん、そして参加してくださったみなさんに感謝いたします。●写真は参加者全員で上海博物館の前で撮りました。
「日本文化としての楊名時太極拳」長谷川くみ子(支部長) |
「交流稽古報告」山口 さとみ(副支部長) |
トピック「楊名時先生のメッセージ、海を渡る」 |
「長崎県支部 上海へ見参」三木 隆子(社会保険センター教室) |
日本文化としての楊名時太極拳 長谷川くみ子(長崎県支部長)
上海で地元の人たちと交流稽古をした。中国の人たちの華やかで見事な演舞を見せていただき、私たちの番になった時に音楽なしでということに、まず驚きの声があがった。私たちの静かな、そしてつたない演舞を見終えた中国の人たちが、何か遠い記憶を取り戻したように興奮して激賞してくださったのが意外で、初めてこの太極拳が中国的というよりも、すでに日本文化なのだということに気づいた。そのことについて少し書いてみたい。
中国で生まれた太極拳。中国人が太極拳をするならそこに何の違和感も問題もない。しかし日本人にとっての太極拳とは何か。間、静寂、型の美しさ、礼儀作法、禅の心、そして道。自国のことは往々にして見えにくい。中国の、文武に秀でた家系の出身だからこそ、日本を愛しているからこそ見えるものが楊名時先生にはあった。そして独自の太極拳が形成されていく。
私が気づくのは、たとえば次のような点である。
挨拶から始まる。先生の考え出された「立禅」で心を集中させる。十字手は大きく腕を伸ばし高く上げ、24式の始めにも行う。音楽ではなく、呼吸に合わせてできるだけゆっくりと優雅に舞う。収勢では印を組む。稽古の最後にも挨拶をする礼を重んじた型をもっている。
「型はいわば用い方の結晶した姿ともいえる。煮つまった時、ものの精髄に達するのである。それが型であり道である」(柳宗悦『茶道論集』より)
現代中国は文化を大衆化していく中で簡化太極拳というスポーツを生み出す。しかし、その時にこぼれ落ちた何かがあるはずだ。それを先生は拾い上げ、日本という角度から光を当てる。伝統的な楊式太極拳を基にしたのにも、深い理由があったのではないだろうか。もともとおおらかな大架式にさらに気功の要素を取り入れて伸びやかに、ゆったりとした呼吸で行なえるように動作を改める。倒捲肱での足の運びも足腰を鍛えるためにより高く、腕も大きく開くなど、健康増進と気功の効果を重んじた発想は大胆で自由である。そしてなにより、空手着の着用が挙げられる。
日本文化は洗練の美である。一つの事柄にいかに心を込め得るか。そして道。先生自ら「道」を追求されてきたことは弟子の私たちのよく知るところである。 「真の『太極拳』は型でいよいよ自由である。凡ての偉大な藝術の仕事は法則の発見である。太極拳道は美の法則を語る驚くべき道の一つである」(柳宗悦 ※原文の「茶」を「太極拳」と筆者が置き換えてみた)
日本に伝わった太極拳という苗に、先生によって見出された日本文化がみごとに接ぎ木され、美しい大輪の華を咲かせた。異文化は出会い止揚されてはじめて普遍的な高みに到る。日本文化に新しい一頁を紡ぎ出した楊名時先生の功績は計り知れない。◆◆◆写真●上:楊名時太極拳を上海で演舞する長崎県支部のメンバー。正面が長谷川。 下:簡化24式を合同で演舞。地元の方が美しいチャイナ服で迎えてくださった。
交流稽古報告 山口 さとみ(副支部長・準師範)
2月18日〜21日、長崎県支部発足より2年目にして念願の上海旅行を3泊4日の 日程で実施しました。総勢16名の楽しい旅でした。
19日朝、10数年ぶりの積雪の中、上海駅前広場で八段錦、不老拳、百花拳を稽古。手が真っ赤になって凍えるような寒さでしたが、皆笑顔で気持ちは張りきっているように感じました。写真●都会の真ん中で朝稽古
20日、いよいよ当日。8時50分、ホテルロビーに集合。郭盛麟さんのお迎えを受け不夜城緑地へと向かいました。すでに閘北区太極拳協会より40名程の方が待っていてくださいました。
章維鈞体育協会秘書長よりご挨拶があり、長崎県支部からは長谷川支部長が挨拶。楊名時師家サイン入り書籍と長崎県支部の手拭い、長崎の絵はがきなど、お土産を手渡しました。
写真●長谷川支部長が手拭いを渡しているところ
稽古が始まると、まず上海の方々が簡化24式太極拳を披露してくださり、続いて長崎県支部が演舞。上海側の48式演舞を見せていただいた後、杭慶仁先生による八段錦、長崎県支部の八段錦、上海の皆さんの剣を使った演舞と続き、最後に合同で簡化24式を稽古し、2時間ほどの交流を終了しました。記念写真を撮り、再会を約束しました。写真●上海の皆さんの太極剣
さすがに本場の太極拳はやわらかで、速度は少し速いものの、虚実がはっきりしていて見ていて美しいと感じました。そして楊名時先生の太極拳は八段錦を含めて気功の要素のたくさん入っている、健康を生み出すものだと更に納得しました。
写真●長崎県支部の演舞
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支部の役員4名以外は、まだお稽古を始めて日の浅い方々でしたが、とても実り多いものになったのではないかと思います。
事故もなく皆元気で帰路につけました事は感謝にたえません。
太極拳を通して日中友好を実感できた旅でした。謝謝。◆◆◆
写真●全員で記念撮影
●楊名時先生のメッセージ、海を渡る
中国友好訪問にあたり、楊名時先生から上海市閘北区太極拳協会の皆さんへメッセージをいただきました。当日、上海市人民対外友好協会日本処の郭盛麟さんが読んでくださると、拍手と笑顔が広がって大変和やかな雰囲気になり、交流稽古は万事良い方向へと進行しました。楊先生ありがとうございました。
※メッセージをいただいた時点では参加15名の予定でした。
長崎県支部 上海へ見参 三木 隆子(みき・たかこ 社会保険センター教室 初伝)
「楽しいなあ。帰りたくないなあ……」とバスの前方から声がしました。長谷川先生と3教室から参加した15名の皆様も同じように満足感溢れていたと思います。上海の旅は五感を刺激した有意義な体験でした。楽しかった4日間を紹介したいと思います。
1日目:滑走路が混んでいると定刻をやや遅れ、雨の長崎を飛び立ち慌ただしく機内食を済ませ上海着。寒さもひとしお霙(みぞれ)模様で観光もそぞろになる。ガイドの魯さんもアジア屈指の名所を紹介したいでしょうに、この視界では……。夕食は四川料理。その後ホテルにチェックイン。写真●春節の飾りが鮮やかな豫園。
屋根には上海では珍しく雪が積もる
2日目:8時30分からの市内観光の前に1時間程ホテル近くの広場で太極拳を行う。夜半の雪や凍った道路で及び腰の歩行者も目立ち、鼻水を拭きながら練習を済ませ、爽やかに一日のスタートを切る。
今日は好天。巨大な街の様子が次々に展開し、魯さんのガイドも滑らかに進む。新旧織り交ぜて目下2010年の万博も取り込みながら開発中で高層ビルが乱立し、一方春節の華やかな飾りも本場ならではの温かみもあり、街は摩訶不思議な喧噪と力強さに溢れる。観光は玉仏寺、中国茶試飲、豫園等予定通り運ぶ。夕食は上海蟹も出て「好吃 (ハオチー:中国語で美味しい! の意)」。
写真●三木さん(左)と郭盛麟さん
3日目:自由行動の日。今日は旅行の一番の目的である太極拳の交流稽古の日である。ホテルから歩いて10分位の緑地で、それぞれの日頃の練習を披露する。青空なれど風冷たいなか、下町の温かい人情にふれながら友好的に交流する。
午後は上海博物館へ地下鉄で出かけ、16名はぐれないようにし無事到着。集合時間と場所を決め、それぞれ鑑賞する。
写真●勤続20年以上! 60代〜80代の6人バンド
上海和平飯店老年爵士楽団
ホテルへ戻り近くのレストランで夕食後、和平飯店へ。途中夜景が素晴らしく、1日目の悪天候分も挽回し、上海が誇る心髄を堪能する。ジャズバンドの演奏を楽しみながら、ワンドリンクサービスで「好喝 (ハオホー:飲み物が美味しい! の意)」。
写真●帰路の飛行機。上海よ、さよ〜なら〜
4日目:帰国の為、7時ホテル出発に合わせ荷物をロビーに運び、チェックアウト、朝食と少し忙しい。12時30分頃長崎空港到着。流れ解散。
今回は旅費も驚く程安く、しかも内容は遜色なく多くの事を学び、経験しました。参加出来た喜びと和やかに過ごせた皆様に感謝いたします。次の企画の時は是非参加してくださいね。オフシーズンの旅もいいですよ。◆◆◆
写真●美しい外灘の夜景にウットリ。上海を満喫した旅でした