こんちりさんのりやく・ロザリオ キリシタンを解凍する試み



 慶長8年(1603年)、日本司教ルイス・セルケイラによって著され、キリスト教禁教下、口伝や筆写によって守り伝えられた教義書「こんちりさんのりやく」を、絵本作家・長谷川集平が平易なことばと解説によってインターネット上に甦らせました。本書はそのはじめての印刷版です。
 ロザリオの祈りの唱え方と、集平が長年あたためてきた「ロザリオ絵本」のためのスケッチを併録。

「こんちりさんのりやく」は潜伏キリシタンの間で一種の伝言ゲームのように伝承されたものです。ゲームと言うには、あまりにきびしく悲しい営みでしたが。ここでは、よくある学究的な逐語訳ではなく、意味を汲んで文学的表現に置き換えていくという私的なやり方をとりました。ですから、資料的価値はないし、行き過ぎやミスが多いでしょうが、あえてそうした理由があります。ぼくは現在長崎に住むカトリック信者のひとりとして、キリシタンの伝言ゲームの長い列の最後尾に自分自身を位置づけたかった。前の人の伝言を自分の感覚でしっかり受けとめたかった。そして細々と続けてきた伝言ゲームはこの辺で打ち切って、メッセージをここから多くの人にひらく作業にしたかったのです。(「こんちりさんのりやく」解説より)


★ブックデザイン:田名網敬一、佐藤博一





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